社会の深海魚たち、ディズニー行って窒息【たらい回し人生相談】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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社会の深海魚たち、ディズニー行って窒息【たらい回し人生相談】

【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第10回

 

■大司教、HPけずられまくる:

 一行は「でかい雷の山」に到着。

 

Rさん:やめときます?(マシーンを怖がる筆者を心配してくれる)

筆者:いや、乗ります。尿道結石が出るかもしれないし。

Rさん:は?!(困惑)

筆者:結石が出るチャンスなんですよ……。

 

 有名だから知っている人も多いだろうが、このアトラクション、尿道結石を排出する効果があるという研究(注7)がある。いい感じに体に力がかかることで結石が排出されるのだ。

 筆者は尿道結石だと診断されたことはないが、あった場合はこれで出せる。胆石リスクもあると言われたことがあるので、こっちにも効果があるかもしれない。とにかく体内から石が出るチャンスだ。

 とにかく、巨大な健康マシーンに乗れるチャンスなのでわたしはこれに乗った。そして降りた。「でかい雷の山」については以上だ。アトラクションの内容についてはあまり書くことはない。だいぶ目をつぶっていたので覚えがない。しいていえばサボテンの植え込みがよかったです。

 結石は出なかった。

 つづいて食事タイム。Rさんおすすめの「美女と野獣の悪役の食い物屋」に行く。われわれネット民は野獣と聞くと別の人物をイメージしがちだがそちらではない。量は少し物足りないが味は良かった。どこかのコラボカフェも見習うべきだ。

 味はうまい。味はうまかったが、わたしは買ったばかりのキャップにコーヒーをこぼしてしまってトイレで洗っていた。それで気付いたが、つばの部分にしっかり芯が入っていて、洗っても型崩れしなかった。これにかぎらず、全体的にランドで売っている服はデザインも縫製もしっかりしているようだ。キャラクターグッズにありがちな安っぽさがないのは流石である。

 つづいてのアトラクションは「フィルハーなマジック」だ。立体映像を使うアトラクションなのでそれ用のメガネをかける。黒いメガネをかけたSさんがダフトパンクみたいだと盛り上がっていた。

 なんだかんだいって、この時点ではみんなそれなりに夢と魔法の国を楽しんでいる状況だ。唯一、大司教だけが場に馴染めない様子でぼんやりとしていることだけが増えた。強いストレスを感じているようだ。なんか火事のあとの永沢くんみたいな表情で黙っていることが増えた。

 

大司教:……ダフトパンクってなんですか?

筆者:そういうのがいます。

大司教:ふーん。それもディズニーですか。

筆者:バビロニアの妖怪です。

大司教:ふーん……。

 

 心ここにあらずのベイ司教。

 アトラクションの内容は、オーソドックスな演出かと思いきや、途中では幻覚っぽい抽象的なアニメーションもさし挟まれる。某象飛行アニメのピンクの象のシーンを彷彿とさせる。

 

Nくん:いやーサイケでしたねー。

Yくん:わかってるよねー。

大司教:これ作った人絶対幻覚剤をやってるよね……。

Rさん:いや、やってないし!

大司教:やってますよ……。

 

 イヤそうな顔をするRさん。スティーブジョブズとLSDの話を枕に、サイケデリックムーブメントの話をする大司教。ベイのマックスはそんなこと言わない。

 続いてのアトラクションは「幽霊屋敷」だ。セーフティーバーに触ってはいけない。それを引くのは私の役目。個人的には庭の作りがなかなかよかったですね。順番待ちのあいだ、ベイ司教はまた近くのカップルに話題を提供していた。

 さて、このアトラクションだが、ある意味で別の心霊(?)スポットとしても有名だ。というのも、熱心なファンの中にはこのアトラクションに遺骨を撒くことを希望する者がおり、本場米国では無断散骨が問題になっているという。順番待ちのあいだそのことが話題になる。

 

大司教:わかった。要するにこれ代替宗教なんですね。巡礼があり、現世の否定があり……。

Rさん:何がわかったんだよ……(呆れ)

 

 アトラクションのカートは3人乗りなのだが、大司教も筆者も恰幅がいい(注8)ので、間に挟まれたSさんがアスパラみたいになっていた。さらにアトラクションのラストには幽霊が乗りこむ演出があるのだが、Sさんに幽霊が完全に重なってしまう。幽霊のほうがSさんより栄養状態が良さそうである。

 そんなほほえましい一幕だったが、この時点で大司教の顔にはかなりの疲れが見えた。どうもファンシーな空間にダメージを受けているようだ。また、このテーマパーク内は来園者を楽しませるために細かいトリックが仕掛けられていることが知られている。たとえば建物のレンガのディティールなどは、上に行くほど細かくすることで遠近感を強調したりしている。そのようなイリュージョンが大司教の眼を混乱させているという。

 

大司教:なんかここ、毒の沼地みたいにダメージ受けるんですけど……。

Rさん:いや、ふつうはみんなここで元気をもらうんですよ!

大司教:信じられない……。

 

 ファイナルファンタジーとかでゾンビが回復魔法でダメージ受けるやつのリアル版だ。

 そして、次なるアトラクションが大司教に大ダメージを与える。

 

ぐったりするベイ司教、なんか完成って感じ

 

(注7)研究内容は腎臓結石を再現した模型をビッグサンダーマウンテンに乗せるというもの。詳細はMarc A Mitchell, David D Wartinger. (2016). Validation of a Functional Pyelocalyceal Renal Model for the Evaluation of Renal Calculi Passage While Riding a Roller Coaster. Journal of Osteopathic Medicine.(リンク:https://www.degruyter.com/document/doi/10.7556/jaoa.2016.128/html)

(注8)わざわざ書く必要はないと思うが肥満体系ということ。

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